大抵の場合、腰部そのものへの鍼灸施術が思い浮かびますが、それは比較的浅層の場合、若しくは軽度のぎっくり腰(myofascial low back)に有用とされるものの、深部へは思いの外効果に乏しいとされます。

経絡からして「飛揚」「跗揚」(脚太陽系)も用いますが、膝関節よりも上方でハムストリング(大腿二頭M)より深層の半膜様Mに位置する「殷門」及びそれより若干下方で半腱様M(sprinter muscle)に硬結を認める部分、及び中間広Mに内側から入れ込む形で深刺鍼をします。但し、それなりに深部ですので、膝窩動脈や大腿動脈を傷付けない様、念頭に入れながら硬結を緩解します。

半腱様M及び半膜様M、大腿二頭Mは下腿屈曲に働きを持つ運動器ですが、浅層に位置する大腿二頭Mよりも半膜様Mはやや見逃されがちにもなります。つまり、半腱様M及び半膜様Mは大腿二頭Mの協力Mではあるが、故障には気付きにくい運動器でもあります。半腱様M及び半膜様Mの働きが悪化する事により、腰痛は疎か、代謝改善へのパフォーマンス低下にも拍車が掛かります。

よく動画サイト等で筋膜リリースに関する動画群を目にしたりもしますが、もっと肝心な部分が欠如しているように見受けられます。「其処だけ狙えば他の筋膜の緩解に役立つ」、如何にも聞こえは良いのですが、他の繋がりにも意識が向かなければ、今一つと考えます。

意外な部位の見立ても、木を見て森を見ず的な対処よりももっと視野を拡げる意味合いを持たせる観点から重要です。