過日、安倍晋三首相が当該症例にて辞意を発表した事で、今や脚光を浴びる事となりましたが、そもそも当該症例の病態や原因は何でしょう?

潰瘍性大腸炎とは、指定難病67号に挙げられている文字通り難病の一つですが、大腸の粘膜(最も内側の層)に糜爛や潰瘍が形成される大腸の炎症性症例です。特徴的な症状として、下血を伴い、又は伴わない下痢と頻発する腹痛があり、病変は直腸から連続的に、上行性に広がる性質があり、時として直腸から結腸全体に拡がります。

併発する症例として、下痢や血便、痙攣性、或いは持続的な腹痛を伴う場合があります。重症化すると、発熱、体重減少、貧血等も起き得ます。腸管以外の合併症としては、皮膚症例、関節や眼関連の症例も有ります。

現在、当該症例の患者は国内では推定17万人居るとされ、性差は余り見受けられません。発症の年齢層は10代〜70代と割と広範に及び、高齢だからといって易発症という訳でもありません。

発症原因は判然としていません。自己免疫反応異常、若しくは食生活の変化による関与が取り沙汰されたりもしますが、詳細は不明です。唯、喫煙や過度の運動不足、外的要因が引き金にはなっているようです。

遺伝的要因もそれなりに有りますが、近親者に炎症性の腸管症例が認められる場合が殆どです。つまり、他の症例と類似的で自律神経の影響に依る部分が大とするのであれば、症例の寛解は比較的容易とされます。

当該症例の予後は他の難病に比して良好ではありますが、大腸癌を併発する例も有ります(少数)。基本的には、服薬による処方が為されますが、重症化している場合はオペ(全摘)の必要性が出現します。

ここまでは汎的対処例でしたが、鍼灸ではどう対処していくのでしょうか?他の難病と同じく、罹患した場合の寛解は困難ですが、予防策の一環としてはそれなりに有用ではあります。

概ね、自律神経関連への対処がメインとなりますが、腸管関連ともなれば、病証的には「脾虚」と考えられます(※勿論、脈証は加味)。経絡的には、大腸の裏は「肺」の繋がりでもありますので、表裏関係を用いて「肺」の気の通りを改善する事も不可欠です。

経穴的には、下記を用います。
「太淵」→「孔最」→「尺沢」→「雲門」(手太陰経)、「偏歴」→「温溜」→「上廉」→「曲池」→「巨骨」→「天鼎」→「扶突」(手陽明経)、「天枢」→「外陵」→「大巨」→「水道」(脚陽明経)、「気海」→「関元」(任脈)、「四満」(脚少陰経)、「大横」→「腹結」(脚太陰経)に置鍼or雀琢鍼(電気鍼加味も可)

背面では「六華の灸」(奇穴)及び「京門」→「帯脈」(脚少陽経)に電気鍼、「胃倉」(脚太陽経)と「命門」(督脈)は多壮灸とします。