加齢と共に、膝関節も変形していき、関節内に滑液が滞留して安定性が悪化してきます。この様な状態が「関節水腫」と呼称され、膝蓋骨を圧すると浮揚感があったり、それなりの疼痛も出現します。

階段の昇降や登山等でも、下りでは膝関節に対する負荷は上りよりも遙かに大きく、柔軟性が失われた状態では歩行にも重大な支障を来す場合が多いです。

関節内には「滑液」と呼ばれる少量の液体が有り、それは無色透明で粘気を有し、機械でいうところの「潤滑油(グリース)」の働きをしています。関節に柔軟性や弾力性、養分供給の働きを担っています。

関節液は関節内の「滑膜」という部分で組成され、新しい関節液を作り古い関節液を吸収し、通常は関節液の均衡は一定に保たれていますが、様々な原因(外的障害)により滑膜組織に炎症が発生すると、滑膜から関節液が過剰に分泌されます。
この結果、関節液が過剰となり、膝蓋骨上端に水が滞留します。

滞留している関節内部の圧力が上がるに従って、関節が不安定になります。又、痛みのために患部付近の血行が阻害され、滑膜を刺激して更に関節液の分泌を促進するという悪循環に陥ります。

当該症例では、膝関節外側に痛みが強い場合は脚陽明経へ、内側では脚少陰経への施灸とします。併せて、手陽明経の「温溜」「上廉」と「扶突」に浅鍼又はてい鍼(電気てい鍼も可能)、「六華の灸」に電気鍼を加味します。

膝関節だけにフォーカスするのではなく、全身の姿勢や体質、筋膜等に至るまで、くまなく捉えなければ、当該症例からの脱却は図れません。