当院の鍼施術で鍼響(しんきょう)を出す場合は、深部の筋緊張を緩和する目的です。通常は皮膚から5mm程度、臀部では10mm程度(※筋発達が著しい場合は20mm以上の場合も有り)の刺鍼で10分前後置鍼しますが、鍼響を希望される場合は、雀啄で響きを出していきます。筋硬結の部位で鈍痛が来ますので、その響きを確認しながら雀啄のスピードを上げて緊張部位を弛緩させていきます。

経穴は皮膚上で電気抵抗が減じているような部位であり、何らかの刺激でも少しの刺激量で感じる為、鍼灸ではその反応を逆手にとって気の疎通を促していきます。よく鍼灸で「即効性の高いのはどちら?」という質問が挙がるのですが、手法の違いだけで基本的な考えは一緒です。

他、鍼灸で「本治」と「標治」といった具合の言葉も聞かれますが、前者は12経絡(手太陰肺経・手陽明大腸経・脚陽明胃経・脚太陰脾経・手少陰心経・手太陽小腸経・脚太陽膀胱経・脚少陰腎経・手厥陰心包経・手少陽三焦経・脚少陽胆経・脚厥陰肝経)+「2奇経(督脈・任脈)」+「奇穴」の気の疎通を改善していくことで自然治癒力の向上化に結び付けられ、後者は疼痛に直接働きかけるが如く、体表から判断できる「虚実」の状態に比して「補法/瀉法」を行っていき調整を図ることで病態の緩和に結び付けられます。即ち、どちらか一方だけ行えば病態からの脱却が計れるかと言えばそうでもなく、組み合わせる事で「未病」と呼ばれる状態からの脱却に結び付けられます。元来、心身は即効性の有る処置に対して寛容ではなく、時間を要してでも緩やかにアプローチしていくことに慣れる筐体であり、如何に原状回復させる事の困難さは時間や環境要因に比例しています。