手指に発生する腱鞘炎の一種で、昔はスーパー等のレジ係員が当症例の好発者とされていましたが、PCやスマホ等の操作で、手指を酷使する傾向にあり、結果としてオーバーユース(over usage)の状態になり、指を屈伸させるだけでも痛みが走ったり完全には曲げられなかったりといった声が後を絶ちません。

好発部位は拇指や中指のMP関節ですが、どの指でも発生し得ます。手指、特にMP関節の屈曲に働く運動器は浅指屈M/深指屈M/長拇指屈Mですが、屈Mの腱と靭帯性腱鞘(腱が浮き上がらない様に止めている留め金のような働きをする部位)に炎症が発生すると、手指の屈曲に痛みを生じ、症例の進行度合いによっては、屈曲不可となるケースもあります。

その場合、当該炎症部位のオペとなり、完治困難となり得ます。

鍼灸施術で、当症例からの疼痛緩和が期待できます。
使用する経穴は、「魚際」「太淵」「大陵」「経渠」「内関」「郄門」「陰郄」「労宮」「孔最」「三里」ですが、中指の場合、「郄門」〜「曲沢」間に手厥陰経(心包経)の経穴が有りませんので、橈側手根屈Mや腕橈骨M、上腕二頭M腱膜に施術を加味します。

その他の腱鞘炎(ド・ケルバン腱鞘炎/テニス肘/野球肘)にも共通して発生する症例は、頚部や肩部の凝り、頭痛等です。特に凝り症はこれらの腱鞘炎に随伴して発生している事が十中八九見られます。

腱鞘炎の鍼灸施術に加味して、肩甲骨周囲の緊張緩和施術が肝要になります。手指だけに特化しての施術では、筋膜の繋がりを考慮していない事にもなります。頚肩部の筋バランス異常という事も、当症例の引き金でもあります。

されど手指の腱鞘炎、と高を括っていてはいけません。頚肩周りも共に鍼灸施術を行ってはじめて、当症例の緩解に繋がります。