過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;以下IBSと略します)は細菌感染によって腸に炎症が起き、腸の粘膜が弱くなるだけではなく、腸内細菌の変化も加わり、運動と知覚機能が敏感になる症例とされます。

致命傷となる事例ではありませんが、胃腸系の不調という事でQOLの失調をも来しやすくなります。病態としては、外的要因により遠心性の伝達信号が優位となり、自律神経及び内分泌を介して消化管運動を変化させます。食物はその種類と摂取方法によっては、先とは反対に求心性の伝達信号が優位となり知覚過敏状態を引き起こします。腸内細菌の一部に至っては、腸に軽度炎症を起こしたり、粘膜を弱らせてしまう事でIBSを起こりやすくしていると考えられます。

但し、決定打とされる根拠が乏しいとされている当症例は、不定愁訴の一種といっても過言ではありませんが、自律神経の乱調による要素が大とされます。

猛威を振るい続けている新型ウイルスによる胃腸の不調というのも、免疫系に異常を来す事から当該症例の要因になり得ます。呼吸器系の異常ばかりがクローズアップされがちですが、消化器系にもそれなりの支障を及ぼします。

当院の場合、仰臥位にて「中府」「周栄」「胸郷」「気戸」「庫房」「膻中」「紫宮」「鳩尾」への置鍼及び温灸、伏臥位にて「六華の灸」と呼ばれる経穴群:「膈兪」「肝兪」「脾兪」(※脚太陽経)及び「至陽」「筋縮」(※督脈)へ電気鍼及び電気温灸を施します。「地機」「血海」「三陰交」「三里」も、脾の気の調整という意味合いにて付加します。