四日市市在住、30代男性の事例

職業としては大型トラックの運転士兼事務で、普段の運動は筋トレ
2週間程前から鉄棒での懸垂をしている最中に、肩関節最上部に疼痛感を憶え、右上肢に至っては肘関節内側にも疼痛を訴求されている
病証は脾虚肺虚(上記の他に暴飲暴食傾向且つ鼻詰まり有)

肘関節だけでいうなら、内側側副Ligに生じている腱鞘炎の一種である「ゴルフエルボー」といった具合ですが、他方、肩関節ではインナーマッスルの一つである刺上M及び関節の自由動作を実現させる肩峰下滑液包が、上肢の挙上時に上腕骨と鎖骨先端部にて圧迫される事で生じる痛みが「インピンジメントシンドローム」とされます。

当症例の原因は幾つか挙げられますが、
1)姿勢悪化
2)酷使(over usage)
3)肩甲骨周囲の動作低下

上記の内、1と3は略同義的です。3により胸郭の動作低下或いは筋力低下を引き起こし、次いで肩甲骨周囲のM群(大円/小円/棘下/大菱形/上後鋸)で動作の固定、前面の小胸/大胸M、側面の前鋸Mの過緊張を引き起こして更に肩甲骨を前方へ押し出す作用から姿勢悪化の継続となります。

特に、小胸Mが鎖骨と肩甲骨を連結するサスペンダー的役割なのに対し、大胸Mは上肢の内転作用が有りますが、後者は上肢を下垂した状態において上腕骨付近で腱が捻転しているが為、姿勢悪化と共に上肢の内転がより強く働き、結果として2の要因に結び付きます。

上記の事柄から、当症例の主要因は前面及び側面と言っても過言ではありません。胸部が硬直して動作不良となっているが為に、上肢の痺感(胸郭出口シンドローム等)や頚肩部・背面の過緊張にも繋がり、引いては腰痛にも連結、といった具合です。

当患者への対処としては、上腕二頭M長頭及び「肩髃」「臑会」「青霊」「極泉」「曲垣」「周栄」への電気鍼施術、上腕二頭M長頭に関しては電気温灸を併用としました。他方、ゴルフエルボーへの対処としては、手少陰経を主経絡とする電気鍼(電気温灸併用)を施しました。

三角Mに至っては、運動鍼も加味しています。通常、鍼の刺さっている状態では静止させている事が肝要となりますが、軽度の運動を加味して貰う事で、腱の痛み等を軽減させるのに役立ちます。

【Fig.1 インピンジメントシンドローム及びゴルフエルボーに対する電気鍼】
(※写真は上腕二頭M長頭と「侠白」、及び「少海」と尺側手根屈Mに電気鍼)